第4期沸騰地熱塾の第3回「八幡平の火山・地質」が12/3(木)に開催されました。
第3回は、⼋幡平⽕⼭群の100万年前以降の噴⽕推移と最近解明された1万年前以降の新しい噴⽕の様⼦について、土井先生の考察も含めてお話いただきます。
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当日のようす
今期は、オンライン開催も実施しており、会場とオンラインで参加者が集まります。参加者は、27名(会場10名、オンライン17名)でした。当日の様子を抜粋してお伝えします。
当日の主な話題
1八幡平の火山と最近1万年間の噴火
2松尾はちまんたい地熱発電所の地下の地質
3松尾鉱山の硫黄鉱床
1八幡平の火山と最近1万年間の噴火
八幡平火山群の地形について、赤色立体地図を用いて解説いただきました。
また、八幡平火山群地質図を活用し、八幡平火山群の形成順などについて説明。火口についても八幡平にある実際の火口写真を用いながら説明いただきました。
専門家でなければわからない森林の中にある小火口群や、水蒸気の割れ目などについても紹介されます。他にもドローンを使った写真を用いて、噴火口の成因について仮説を交えて解説しており、普段見られない視点から火口をじっくり見ることができました。参加者たちは、講義に聞き入っています。
「八幡平市にはなぜ湿原が多いのか?」という身近な事例をもとに考える時間もありました。答えは「地形が平ということも一つの理由だが、水蒸気噴火していることが理由である。八幡平火山群は3回水蒸気噴火している。水蒸気噴火の火山灰には粘土が多く含まれており、その粘土が上に覆い被さることで水はけが悪くなり、湿原が広がったと考えられる」でした。参加者たちは、納得しながらメモをとります。
八幡平火山群では、1万年前以降、2地区で水蒸気噴火しており、中でも八幡沼付近では3回噴火しています。八幡沼周辺にも多くの沼がありますが、こうした沼の成因は謎が多く、土井先生の研究テーマの一つでもあるとお話しされていました。
2松尾八幡平地熱発電所の地下の地質
松尾八幡平地熱発電所の地表の様子、比抵抗分布からみた地下物質、3本の地熱井掘削の結果、熱源深成岩の年代と対比などを紹介。地熱の三要素の説明もあり、一般の方にもわかりやすい話が続きます。
3松尾鉱山の硫黄鉱床
松尾鉱山の硫黄鉱床は、日本最大の硫黄鉱床です。松尾硫黄鉱床の特徴や、硫黄・硫化鉄鉱床を貴重な写真を交えながら説明いただきました。
NEDOの調査で地熱井掘削が3本行われたことによって、松尾八幡平地熱地域の地下の構造が明らかにされた話は印象深いです。地熱熱源岩の年代は約五十三年前以降のものであり、火山との年代対比は調和していることも紹介されていました。
講演の後には質疑応答の時間があり、会場やオンラインからの質問に土井先生が答えます。その後、18時00分に第2回は終了しました。
土井先生より
今回は、すでに閉山している松尾鉱山の硫黄鉱床をどのように理解していただくかに特に苦労しました。どのように自然現象を捉えていき、それがどのように出来たかを理解したら良いか頭を悩ませていたところ、NEDOの調査の見学を許可して頂き、イメージを膨らませることができました。ありがとうございます。私にとっても本公演の内容を考えることにより、松尾鉱山の硫黄鉱床などを具体的に捉えることができて良い機会となりました。
今回の講演では、八幡平火山群の詳細な解説から始まり、普段はなかなか知ることができない松尾八幡平地熱発電所の地下の地質についてや、すでに閉山していて見ることができない松尾鉱山の硫黄鉱床について、詳しくお話いただきました。参加者にとっても、身近な環境への理解がさらに深まったのではないでしょうか。